陶の芸術家2 木村展之

こやまあきゆき

2007年03月13日 23:51

美しい青磁や月白の器を見ると、木村展之の顔が浮かんでくる。若かりし頃京都の祇園八源で器の研究会を6人でスタートさせた時、私は自分の未熟を省みずに、渋い灰釉と造形センスのある浅田弘道・ロクロがうまく立体造形でも才能を発揮していた加古勝巳・釉薬の専門家で工業試験場の講師、特に鉄釉・天目でフランスのパリでも個展を開いていた木村隆・クラフト系のオシャレな天空をイメージする器の大先輩岡田保博・そして釉薬で実に美しい月白などを自由に使いこなす木村展之に参加していただき、様々な器展を展開した。今では想い出のひとコマだが。
 日本に三種の神器があるように、中国の皇帝にとっては玉で作られた3種の神器があった、ところが宋に金が進入し北半分を支配したとき南宋は、かろうじて独立を維持したが、『玉』をうしなってしまった。『玉』はもともとクンルン山脈の北側のホータンで産出される。中国歴代王は宝物としていた。北宋は金に奪われ、産出地との交易も絶たれ、玉に変わる景徳鎮で磁器による宝物を作らせた。簡単に青や緑に光る青磁とかではなく玉の輝きのある磁器。木村展之の作品に魅せられるのは、そのしっとりして高貴な結晶ゆえであろうか。

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