楽茶碗を作る・焼く

こやまあきゆき

2006年12月22日 05:01

楽焼は普通の陶磁器より焼く温度が低い為に、粘土に耐火度が要求されない反面、その工程から、熱による収縮が小さくなければならない、熱い窯に入れ、古来の技法では、炭火の温度を上げるなどして、表面の鉛ガラス化する釉薬を溶かす。また、黒楽など鴨川石を含んで黒く焼ける釉薬の発色を最もいい状態でストップをかける為に、熱い窯から引き出され。時に水につけられる。
こんな荒業に耐えられるのは、大火度の高い土か焼粉を振るって粘土に加えると収縮の小さい粘土になる。鴨川石は鉄分を多く含んでおり、黒楽に最適であった。
楽茶碗の成形は現代語ではピッチングとも呼ばれるが、板の上に置いた塊に芯を途中まで差込回しながら徐々に広げ・成形していく方法が基本だが、もう一つの特色は、成形・半乾きでU字型のカンナで削っていく。砂がまざった粘土の感触をけづっていると裏で受けている手に削っている感触が伝わる。楽用の土は、細かい砂地の混ざった粘土の感触で、実に気持ちよく削れる。窯のないひとでも耐火れんがで簡単に窯が作れる。レンガを円形に並べ、1段目に鉄の溝ふたのような構造物を置くと作品を置きやすい。現在の窯用の横板があればいいがなければ耐熱レンガ代用。焼く作品を置く場所設定。更に周りを高く積む。1段目に空気穴。後はまず窯を焼いて内部の温度を上げる。炭は便利。
材料がなければ、割り箸ダンボール1箱分でも焼ける。食堂やうどん・ソバ屋でもらう方法もある。
釉は天然の土灰に焼く温度を下げる鉛を多く含んだ原料を加えて、表面ノガラス化する温度を下げる。黒楽は鴨川石を入れて焼く。火鋏でつまんで入れ、取り打す。京都の清水道の「イワサキ」に行けば、市販の『楽土』『楽釉』も買える。ヨーロッパでは、この焼き物が大変進化して、様々なラスターなどを生んでいる。元々ガラスに鉛を入れると熔ける温度が下がることは、古くからシルクロード伝播の技術として、知られていた。近年の「ヨーロピアンラク」の研究は、京都市工業試験場の木村隆先生のご専門だ。楽窯から引き出した茶碗を、籾殻などに投げ込むと様々な変化が出来る。籾殻は、竹灰・わら灰と共にシリカが多い。詳しくは、京都リサーチパークの木村隆先生まで。

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